2026年夏の山梨大会で、大きな波乱が起きました。

2023年春のセンバツ王者で、2025年秋から2026年春にかけても山梨県内で圧倒的な成績を残していた山梨学院が、準決勝で敗退。

4季連続となる甲子園出場を逃しました。

山梨学院を破ったのは、

帝京三。

試合は延長10回タイブレークまでもつれ、帝京三が5-4で勝利しました。帝京三は10回表に代打・竹田伊織が勝ち越し打を放ち、その裏は一死満塁のピンチを2者連続三振で切り抜けています。

そして決勝では、帝京三を東海大甲府が5-3で撃破。

東海大甲府が3年ぶり15回目となる夏の甲子園出場を決めました。

ここで重要なのは、

東海大甲府が山梨学院を直接破ったわけではない

という点です。

山梨学院は準決勝で帝京三に敗退。

東海大甲府はもう一方の準決勝で甲府工に勝ち、決勝で帝京三を倒して山梨代表となりました。

では、優勝候補だった山梨学院はなぜ敗れたのか。

そして東海大甲府は、なぜ激戦を勝ち抜いて代表へ返り咲けたのでしょうか。


山梨大会準決勝の結果

チーム3回4~5回6回7~9回10回
帝京三400015
山梨学院121004

山梨学院は3回に一挙4点を失いました。

その後は打線が反撃し、6回に4-4の同点。

しかし勝ち越すことができず、延長10回に帝京三が決勝点を奪いました。


山梨学院の敗因① 3回の4失点が重すぎた

最大の敗因は、3回表の一挙4失点です。

山梨学院の先発・木田倫大朗は、帝京三打線に4者連続安打を許しました。

山梨学院は途中で渡部瑛太へ継投しましたが、帝京三・浜井優斗にも中堅越えの適時打を浴び、1イニングで4点を失いました。

高校野球では、4点差でも十分に逆転できます。

実際、山梨学院は一度追いつきました。

それでも序盤の4失点によって、

  • 早い段階から追いかける展開になった
  • バントや盗塁など攻撃の選択肢が限られた
  • 投手起用を早めざるを得なかった
  • 帝京三に「先行して守る」という形を与えた

という影響が生まれました。

特に相手が優勝候補へ挑戦する立場の場合、序盤の大量リードは精神的にも大きな自信になります。


敗因② 追いついた後に勝ち越せなかった

山梨学院打線は簡単には終わりませんでした。

3回裏に1点を返すと、その後も反撃。

6回には一死満塁から杉村空飛の中犠飛で4-4に追いつきました。

4点差を追いついたこと自体は、山梨学院の地力を示しています。

しかし問題は、その後でした。

7回。

8回。

9回。

両校とも無得点。

山梨学院は流れを完全に奪い返したように見えましたが、決勝点を取れませんでした。

優勝候補が番狂わせを防ぐには、

追いつくことではなく、追い越すこと

が必要です。

同点にした後の好機で、あと一本が出なかったことが最後まで響きました。


敗因③ 4番・菰田陽生が無安打

山梨学院の中心は、投打二刀流でドラフト上位候補として注目される菰田陽生です。

菰田はこの試合に4番・一塁手で先発。

しかし打撃では4打数無安打に終わりました。

山梨学院はチーム全体で4点を奪っています。

それでも勝負どころで、最も期待される4番から決定打が生まれませんでした。

菰田自身も試合後、4番として決め切れなかったことを悔やんでいます。

強豪校同士の接戦では、主砲に回る一打席が試合を決めます。

帝京三が代打・竹田の一打で勝ち越した一方、山梨学院は中心打者が得点を生み出せませんでした。


敗因④ 菰田を延長10回まで温存した投手起用

菰田は投手としても最速150キロを誇るエース級の存在です。

しかし準決勝では、延長10回のタイブレークから登板しました。

山梨学院は木田、渡部らで9回までを戦い、最後の勝負どころで菰田を投入。

ところが4-4の10回表、一死二塁から帝京三の代打・竹田に右前適時打を許しました。

結果論ではありますが、

「菰田をもっと早く投入していれば」

という見方は出てきます。

ただし菰田は4番打者でもあり、大会全体を考えれば投打両面の負担管理が必要でした。

山梨学院には複数の好投手がいたため、9回まで他の投手で戦う判断自体は不自然ではありません。

それでも最終的には、

最も信頼する投手を投入した直後に決勝打を許した

ことが敗退へ直結しました。


敗因⑤ 延長10回、一死満塁で一本が出なかった

山梨学院は10回裏、絶好の反撃機を作りました。

無死一、二塁から送りバントを成功。

一死二、三塁となり、帝京三は次打者を敬遠しました。

これで、

一死満塁。

長打は必要ありません。

犠牲フライ。

内野ゴロの間の得点。

四球。

死球。

さまざまな形で同点にできる場面でした。

しかし代打・村橋照平が空振り三振。

続く1番・石井陽昇も空振り三振。

帝京三の今村裕星が2者連続三振で試合を締めました。

山梨学院にとっては、

走者を三塁まで進めながら、打球すら前へ飛ばせなかった

ことが痛恨でした。

勝負強さという点で、帝京三が一枚上回った場面です。


敗因⑥ 「山梨学院を倒す」ことに特化した帝京三の準備

帝京三は、単なる勢いで山梨学院を倒したわけではありません。

大牧大輔監督は、山梨学院を倒すために最大限の力を発揮できる打順を考え、3年生を中心に勝負したと説明しています。

象徴的だったのが延長10回です。

勝ち越し打を放ったのは代打の3年生・竹田伊織。

最後の満塁を守ったのも3年生投手・今村裕星でした。

帝京三は、

  • 序盤に積極的な打撃で4得点
  • 4点差を追いつかれても崩れない
  • タイブレークで確実に勝ち越す
  • 満塁で三振を取れる投手を残す

という理想的な試合運びを見せました。

強者に挑む側が、相手だけを徹底的に研究して勝った試合といえます。


山梨学院は県内で圧倒的だった

山梨学院は、夏の大会前まで県内で圧倒的な成績を残していました。

2024年夏に東海大甲府へ敗れた後、県内公式戦で連勝を続け、2026年春には東海大甲府を2-1で破って春季山梨大会3連覇を達成しています。

2026年夏も、

韮崎に13-0。

巨摩に4-0。

駿台甲府に7-0。

と、準決勝まで相手に得点をほとんど与えず勝ち上がりました。

だからこそ、帝京三戦の3回4失点は予想外でした。

トーナメントでは、それまでどれだけ圧倒的でも、一つのイニングの乱れによって大会が終わります。


東海大甲府が代表を奪還できた勝因① 山梨学院とは別ブロックだった

東海大甲府にとって、山梨学院が準決勝で敗れたことは大きな展開でした。

春の山梨大会決勝では、東海大甲府が山梨学院に1-2で逆転負け。

山梨学院は県内の最大の壁でした。

夏の大会では両校が別の準決勝へ進んだため、東海大甲府は山梨学院と直接対戦していません。

その山梨学院を帝京三が倒したことで、決勝では東海大甲府vs帝京三となりました。

ただし、

最大のライバルが消えたから東海大甲府が楽に優勝した

わけではありません。

東海大甲府自身も準決勝で、敗退寸前の状況から奇跡的な逆転勝利を収めています。


勝因② 6点差でも諦めなかった準決勝

東海大甲府の準決勝は甲府工戦。

2回終了時点で、

1-7。

一時6点差をつけられました。

8回に1点を返しても、9回二死一塁の時点で4点差。

あとアウト一つで敗退でした。

しかし、そこから2つの四球と長短打で一挙4点。

7-7に追いつきます。

延長11回には伊沢拓真の犠飛でサヨナラ勝ち。

8-7で決勝進出を決めました。

仲沢広基監督が語ったように、最後まで諦めなかったことが生んだ勝利です。

この試合を勝った経験が、

どんな展開でも終わるまで負けではない

という自信をチームへ与えたと考えられます。


勝因③ 投手を一人に依存しない層の厚さ

東海大甲府は初戦の富士学苑戦で、

熊谷晄。

村尾竜弦。

の完封リレーによって5-0で勝利しています。

投手陣には、

  • 村尾竜弦
  • 熊谷晄
  • 籾山慶人

など複数の選択肢があります。

準決勝では7点を失いましたが、トーナメント全体では複数投手を使い分けられました。

夏の連戦では、絶対的エースがいても一人だけで勝ち抜くことは困難です。

調子。

相手打線。

試合間隔。

点差。

状況に応じて投手を選べたことが、決勝まで到達できた理由の一つです。


勝因④ 決勝は村尾竜弦が8回まで無失点

決勝の帝京三戦では、エース・村尾竜弦が先発。

初回から打たせて取る投球を続け、

8回まで無失点。

9回に3点を失いましたが、最後までマウンドを守り、5-3で完投勝利を挙げました。

最後の打者にはこの日最速144キロを記録し、一邪飛に打ち取っています。

準決勝では打線が6点差を逆転。

決勝ではエースが試合を支配。

東海大甲府は、試合によって異なる勝ち方ができました。

これがトーナメントを制するチームの強さです。


勝因⑤ 山梨学院を倒した帝京三を冷静に攻略

帝京三は準決勝で山梨学院を倒し、勢いに乗っていました。

学校史上初の甲子園出場まであと1勝。

大きな注目も集まりました。

しかし東海大甲府は、相手の勢いに飲まれませんでした。

決勝では序盤から得点を重ね、村尾が8回まで無失点。

9回に3点を返されても、逆転までは許しませんでした。

山梨学院を倒した相手だからといって過剰に警戒するのではなく、自分たちの投球と攻撃を続けたことが勝利につながりました。


勝因⑥ 春決勝の逆転負けを成長材料にした

東海大甲府は2026年春の山梨大会決勝で山梨学院と対戦。

4回に先制しながら、8回と9回に1点ずつ失い、1-2で逆転負けしました。

春の時点では、

終盤に追いつかれ、最後に勝ち越される側。

でした。

しかし夏の準決勝では、

9回二死から4点差を追いつき、自分たちが逆転する側。

に変わりました。

春の敗戦を経験したことで、終盤まで試合を諦めない姿勢や、接戦での集中力が鍛えられた可能性があります。


山梨学院と東海大甲府の差は何だった?

両校は夏の大会で直接対戦していません。

そのため、

東海大甲府が山梨学院より明確に強かった

と単純に結論付けることはできません。

山梨学院は帝京三に4-5。

東海大甲府はその帝京三に5-3。

スコアだけを使って間接比較することも危険です。

それでも大会全体を見ると、両校の違いが表れました。

山梨学院は4点差を追いついたものの、最後の満塁を生かせなかった。

東海大甲府は6点差を追いつき、延長でサヨナラ勝ちした。

つまり2026年夏に限れば、

最後の一歩を取り切る力

で東海大甲府が上回ったといえそうです。


東海大甲府は「棚ぼた優勝」ではない

山梨学院が敗退したことで、東海大甲府に追い風が吹いたことは事実です。

しかし東海大甲府は、

  • 初戦を完封リレーで勝利
  • 準決勝で6点差を逆転
  • 9回二死から4点差を追いつく
  • 延長11回を制する
  • 決勝で村尾が8回まで無失点
  • 山梨学院を倒した帝京三に5-3で勝利

という戦いをしています。

最大のライバルが消えただけで優勝できるほど、地方大会は簡単ではありません。

自分たちも敗退寸前から復活し、最後の決勝まで勝ち切った。

だから東海大甲府が山梨代表になりました。


甲子園初戦は鶴岡東

東海大甲府の甲子園初戦は、山形代表・鶴岡東。

AI予想パビリオンの事前予想では、

東海大甲府52%。

鶴岡東48%。

ほぼ互角とみています。

東海大甲府の武器は、

  • 村尾竜弦を中心とした投手陣
  • 熊谷晄ら複数投手
  • 6点差をひっくり返した粘り
  • タイブレーク経験
  • 決勝を勝ち切った精神力

です。

準決勝のように大量失点すれば、甲子園では取り返すのが難しくなります。

一方、決勝のように村尾が序盤から試合を作れば、初戦突破の可能性は十分あります。


まとめ|山梨学院は決定打を欠き、東海大甲府は最後まで勝ち切った

山梨学院の主な敗因は、

  1. 3回の4失点
  2. 追いついた後に勝ち越せなかった
  3. 4番・菰田陽生が無安打
  4. 菰田投入直後に決勝打を許した
  5. 延長10回一死満塁で2者連続三振
  6. 帝京三の徹底した対策と3年生の勝負強さ

です。

一方、東海大甲府が代表を奪還できた理由は、

  1. 複数投手を使える層の厚さ
  2. 準決勝で6点差を諦めなかった
  3. 9回二死から4点差を追いついた
  4. エース村尾竜弦が決勝で8回まで無失点
  5. 山梨学院を破った帝京三を冷静に攻略
  6. 春の逆転負けを夏の勝負強さへ変えた

ことでした。

山梨学院を直接破ったのは帝京三。

その帝京三を決勝で倒したのが東海大甲府です。

山梨大会は、

絶対的な本命が敗れた大会

であると同時に、

最後まで諦めなかった東海大甲府が勝ち切った大会

でもありました。

3年ぶり15回目の夏。

東海大甲府が山梨大会で見せた粘りを、甲子園でも発揮できるか注目です。