ヒカルがスタートしたYouTubeメンバーシップ「光の会」。

サービス開始直後からXには、

「光の会に入信しました」

「教祖様」

「信者になりました」

といった投稿が大量に登場した。

普通のYouTubeメンバーシップなら、ここまで独特な言葉は生まれない。

なぜ「光の会」は、発表直後からこれほどSNS上で拡散したのか。

その理由の一つが、「光の会」という極めて強いネーミングにある。

※ここでいう「宗教風」は実際の宗教団体という意味ではなく、ヒカル本人やファンが「教祖」「信者」「入信」といった言葉をエンターテインメントとして使う演出を指す。

「メンバーになる」ではSNS投稿にならない

仮に今回のサービス名が、

「ヒカルプレミアム」

「ヒカルメンバーズ」

だったらどうだっただろうか。

ファンがXに投稿するとしても、

「ヒカルのメンバーシップ入りました」

で終わる。

しかし「光の会」という名前を付けた瞬間、状況が変わる。

「加入」が**「入信」**になる。

「会員」が**「信者」**になる。

ヒカル自身は**「教祖」**になる。

実際にXでは「教祖ヒカル様のYouTubeメンバーシップ光の会に入信した」「教祖様の御言葉を拝聴できる」と、ファン側が自発的に宗教風の言葉遊びを始めている。

ここが非常に重要だ。

ヒカル本人が広告を出さなくても、加入したファン自身が「入信しました」とSNSで宣伝してくれる。

つまり、サービス名そのものが口コミを作る装置になっている。

名前を聞いただけで「何それ?」となる

マーケティングでは、商品名を覚えてもらうことが非常に重要だ。

「光の会」は、その点で強烈である。

YouTubeメンバーシップなのに「光の会」。

一見すると何のサービスなのか分からない。

しかもヒカルという名前の「光」ともつながっている。

このわずかな怪しさが、

「何それ?」
「ヒカル何始めたの?」
「宗教?」

という疑問を生む。

X上でも、「怪しいのが面白い」「ネームセンスが抜群」「よく分からないけど入りたくなる」といった趣旨の反応が確認できる。

通常、マーケティングでは「怪しい」はマイナスワードだ。

しかしヒカルの場合、その怪しさを隠すどころか最初から自分でネタにすることでエンターテインメントに変えている

これまで炎上や賛否すらコンテンツ化してきたヒカルらしい戦略ともいえる。

「家紋」「光新聞」まで用意する理由

さらに興味深いのが、光の会を単なる動画の有料エリアで終わらせようとしていないことだ。

X上の発表内容をまとめた投稿では、「家紋」「光新聞」などの構想も伝えられている。

また、光新聞については、ヒカルの1カ月の予定などをまとめる構想があるとの投稿も確認できる。

なぜYouTubeメンバーシップに「家紋」が必要なのか。

普通に考えれば必要ない。

しかしコミュニティを作るという視点では意味が変わる。

家紋は「マーク」。

光新聞は「会報」。

「光の会」はコミュニティ名。

「信者」はメンバーの呼び名。

ヒカルは、ただ限定動画を販売するのではなく、参加した人が「自分はこの集団の一員だ」と感じられる世界観を作ろうとしているように見える。

これはアイドルのファンクラブやスポーツチームのサポーター文化にも近い。

チームカラーを身につけたり、ファン同士で共通の呼称を使ったりすることで帰属意識が生まれる。

光の会では、それを極端なほど分かりやすく「宗教風」にした。

一晩でファンが勝手に世界観を広げ始めた

この戦略が機能している最大の証拠は、ヒカルではなくファン自身が光の会の世界観で遊び始めたことだ。

「入信しました」

「教祖様爆誕」

「信者一名より」

といった表現が次々に投稿されている。

Xのトレンド欄でも、光の会開始後に入会ラッシュと「信者になりました」との反応が相次いでいると紹介された。

これはマーケティング的には非常に強い。

企業が一方的に作ったキャッチコピーは忘れられる。

一方で、ユーザー自身が使いたくなる言葉はSNS上で勝手に増殖する。

「光の会」という名前は、その状態を開始初日から作り出した。

本当に売っているのは「限定動画」ではない?

光の会には限定動画や生配信、チケット先行、光新聞などさまざまな特典が予定されている。

もちろん、それ自体にも価値がある。

しかし光の会が他のYouTubeメンバーシップと大きく違うのは、**「入ること自体がネタになる」**点かもしれない。

490円を払って動画を見る。

それだけではなく、

「自分は光の会の信者だ」

と名乗れる。

他の会員と内輪ネタを共有できる。

ヒカルの動きをリアルタイムで追える。

つまり販売しているのは動画だけではなく、**「ヒカルの物語の中に参加する権利」**とも考えられる。

ここに「光の会」というネーミングの強さがある。

リスクもある

もちろん、宗教を連想させる表現にはリスクもある。

ヒカルを普段見ない人にとっては、「怪しい」「入りづらい」と感じる可能性もある。

そのため、この演出が成立するかどうかは、あくまで「ネタ」「エンターテインメント」であることが共有され続けるかにかかっている。

しかし開始直後の反応を見る限り、少なくとも既存ファンには意図がかなり伝わっている。

そして皮肉なことに、

「怪しすぎる」ことそのものが広告になっている。

普通の名前なら記事にもならなかった。

普通の名前ならXにも投稿されなかった。

普通の名前なら「入信」という言葉も生まれなかった。

だからこそ、「光の会」という名称はマーケティング的には極めて強い。

ヒカルはメンバーシップを作ったのではなく、ファンが自分たちで語りたくなる“世界観”を作った。

開始初日に1万人単位の会員を集めた理由の一つは、このネーミング戦略にあるのかもしれない。

このテーマのまとめ
ヒカル、YouTubeメンバーシップ「光の会」を設立 開始半日で1万6000人超、限定動画を異例のスピードで連投 まとめ記事を見る